ジュースや調味料などによく含まれている異性化糖。原材料には「ぶどう糖果糖液糖」、「果糖ぶどう糖液糖」と表示されているのが異性化糖にあたります。
糖という漢字がついているので、なんとなく、「甘いモノかな?」と想像する方もいるかと思います。
実際のところ異性化糖は甘味料になるので、その認識でも正解です。
ですが異性化糖がなんなのかをハッキリと分からないという方が多いと思います。異性化糖は体に悪い・危険だという情報も出回っています。
そこで今回は管理栄養士監修のもと、異性化糖とはなんなのか、体に悪いのか、危険性はどうなのかなど解説していきます。
この記事を読んでわかること
- 異性化糖がなんなのか
- 異性化糖の種類
- 異性化糖の危険性
- 異性化糖が含まれている食品
【監修者】M.N
福井県出身の管理栄養士。
論文や企業から学んだ正しい知識を、誠心誠意をもって情報発信。
過去に書いた記事は300本以上。大手メディアにも掲載多数。
【経歴・実績】
2016年 健康栄養学科の大学を卒業・管理栄養士を取得
2016~年 大手食品会社勤務 主に商品開発に携わる
2021~年 健康に関する情報発信・Webライターとして活動
目次(本サイトはアフィリエイトを含む記事があります)
異性化糖とは?原材料はなに?
異性化糖とは、でんぷんを原料として作るブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の混合液です。
使用されるでんぷんとしては、「とうもろこしでんぷん」「じゃがいもでんぷん」「さつまいもでんぷん」などが使われています。
実はでんぷんそのものには甘みはないのですが、でんぷんに酵素を添加し分解していくことで甘みをもつぶどう糖や果糖が作られていくのです。
といっても一体どうなっているのかわかりにくいですよね。
異性化糖の特徴は冷たい時に発揮する!
冒頭でも簡単にお伝えしましたが、異性化糖の特徴は甘味です。砂糖の甘味を100とすると、ぶどう糖は70、果糖は120~170の甘味になります。
のちほど説明しますが、このぶどう糖と果糖の割合で名称がきまり、果糖の量が多いほど甘くなっていきます。
異性化糖の1つである果糖ぶどう糖液糖がよく使われますが、これが砂糖と同等レベルの甘さとなっています。じゃあ砂糖でいいのでは?と思う方もいるのではないでしょうか。
そこで異性化糖のもう1つの特徴である、「冷たい時に甘みが強くなる」というところが使われる理由になります。
なので冷たいジュースやアイス、かき氷のシロップなどには、よく果糖ぶどう糖液糖が使われます。
また砂糖よりも値段が安いので、コストパフォーマンスに優れているということも理由になりますね。
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異性化糖の種類
異性化糖はブドウ糖と果糖の混合液ということでしたが、この比率によって種類が分類されます。
異性化糖の種類
- 果糖含有率50%未満→ぶどう糖果糖液糖
- 果糖含有率50%以上90%未満→果糖ぶどう糖液糖
- 果糖含有率90%以上→高果糖液糖
ブドウ糖と果糖は甘みでいうと果糖の方が強いので、甘みの強さで並べると、
ぶどう糖果糖液糖<果糖ぶどう糖液糖<高果糖液糖
という順番になります。このうち食品・飲料によく使われるのは果糖ぶどう糖液糖になります。その次にぶどう糖果糖液糖になりますね。
また砂糖を混合させてつくられた、砂糖混合異性化液糖というものあります。
異性化糖って体に悪い?危険性は?
異性化糖について2008年米国医師会は、ブドウ糖果糖液糖などの異性化糖はきわめてショ糖(砂糖の主成分)に類似した特徴を持ち、ショ糖以上に体に及ぼす害はないという研究結果を発表しました。
ですが危険性を示唆するような研究データも上がっていますし、論理的にも異性化糖が体に悪いと考えられるのが、様々な論文を通して感じた個人的な見解です。
理由としては、
- 遺伝子組み換えトウモロコシが原料に使われている可能性がある
- 果糖には中毒性がある
- 糖化が引き起こされる
といったところ。1つずつ簡単に見ていきましょう。
遺伝子組み換えトウモロコシが原料に使われている可能性がある
異性化糖は主にトウモロコシが原料になります。これらは遺伝子組み換えされたトウモロコシの可能性があるのです。
遺伝子組み換えはよく健康被害について論議がされますが、食品への表示義務はありません。
そのため仮に遺伝子組み換えのトウモロコシが使用されていても、私達消費者が知る術はないのです。
なので知らず知らずに遺伝子組み換えの食品・飲料を過剰に摂取している可能性が十分にあるというわけですね。
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果糖には中毒性がある
異性化糖に含まれる果糖は、動物実験で中毒性があることが証明されています。
さらに果糖は満腹感を得にくいという特徴があるため、お腹が満たされないからもっと欲しくなるという食べすぎのリスクが高まるのです。
体にいいものであれば大きな問題ではないでしょうが、次に説明する「糖化」が問題になります。
糖化が引き起こされる
糖化とは体のこげともいわれ、タンパク質と余分な糖が結びついて、タンパク質が変性・劣化してAGEsという老化物質を生成する反応のことを言います。
果糖も糖の1つですから、摂取しすぎることで糖化が起こるのです。そして満腹感も得られない・中毒性もあるということから、異性化糖が使われている食品・飲料は摂取しすぎになりやすいのです。
結果として糖化を何回も繰り返し、白髪や肌の劣化が起きたり、単純な食べすぎによる肥満などにも繋がるというわけですね。
肥満になればさらに動脈硬化からの心筋梗塞などの重篤な病気にも繋がるので、体に悪い・危険性が高いという考えにいきつくわけです。
果糖ぶどう糖液糖って糖尿病になる?
ここからは異性化糖の中でもよく使われる果糖ぶどう糖液糖についてみていきましょう。
果糖ぶどう糖液糖でよく示唆されるのが「糖尿病になる?」と声です。
これに関しては摂取量にもよりますが、「糖尿病になるリスクは増加する」といえます。理由を見ていきましょう。
高カロリー飲料を摂取すると糖尿病リスクが26%増加する
「果糖ブドウ糖液糖などの糖類が含まれるコーラなどの清涼飲料を1日1回以上摂取すると、体重増加や肥満につながりやすいことが、多くの研究で確かめられています。
ハーバード大学公衆衛生学部のフー教授によると、「高カロリーの清涼飲料は、それ自体が満腹感をもたらすわけではなく、食事のカロリーが減ることはない。結果として体重増加を引き起こしやすい」と指摘しています。
コーラやサイダーなどを飲むときに、一緒にハンバーガーやポテトなどを一緒に食べていれば、それだけ肥満に繋がるのは当然のことです。
高カロリーの清涼飲料を1日1~2回摂取した人とそうでない人の健康リスク
高カロリーの清涼飲料を1日に1~2回摂取した人では、摂取しなかった人に比べ、次のような変化が起こることが研究によって分かりました。
注意ポイント
- 2型糖尿病の発症リスクが26%増加する
- 心血管疾患の発症リスクが35%増加する
- 脳卒中の発症リスクが16%増加する
糖尿病は運動不足や睡眠不足などの生活習慣が原因ともされますが、肥満もその1つです。果糖ぶどう糖液糖が入った飲料は高カロリーになりやすい傾向にあります。
そのため糖尿病のリスクがあがるというよりは、肥満のリスクが高まり、結果として糖尿病のリスクが高まるというのが自然ですね。
▼参考記事
清涼飲料や菓子に含まれる「果糖」が糖尿病や心臓病のリスクを高める
ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖って添加物?
ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖は日本食品化学研究振興財団が公表している、指定添加物リストには入っていません。
なので厳密には国が指定する添加物ではありませんが、甘みを追加する特徴をもつので、人工甘味料などと同じ添加物と大きくは変わらないでしょう。
そのためぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖=添加物という認識も大方間違ってはいません。
▼人工甘味料についてはコチラの記事をご覧ください
異性化糖・ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖が使われている食品・飲料は?
ここまで異性化糖・ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖について解説してきました。
多くの食品・飲料・調味料に使われているので、完全に避けるというのは難しいですが、できるだけ摂取しないようにすることに越したことはありません。
ここでは食品・飲料・調味料別に、異性化糖が使われているものを紹介していきます。
異性化糖が使われている食品
- コーンフレーク
- グミやキャンディなどの菓子類
- フルーツの缶詰
- 冷凍食品
- アイス
- ジャム
- スイーツ類
異性化糖が使われている調味料
- 焼き肉のたれ
- ドレッシング
- かき氷のシロップ類
- ガムシロップ
- ケチャップ
- タルタルソース
- 旨味醤油
- ソース類
異性化糖が使われている飲料
- 炭酸飲料類
- ヤクルトなどの乳飲料
- スポーツドリンク
- プロテイン
- カフェオレ・ミルクティー等
- お酒に入っている糖類
- エナジードリンク
今回は異性化糖・ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖について解説しました。
少し難しい言葉で、製造工程も複雑なのでどのような特徴か覚えにくいと思いますが、できるだけ摂取は避けるようにした方が無難です。
ただし摂取を完全に避けることは難しいので、摂取するにしても量を抑えるような工夫をしましょう。
今回の記事が少しでも参考になればうれしいです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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【監修者】M.N
福井県出身の管理栄養士。
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