「この食品は添加物が入っているから危険?」
「無添加だから安心して食べられる?」
「添加物ってよく正直何かわかっていない」
このように食品添加物について疑問を持つ方は結構多いのではないでしょうか。
よく耳にする添加物という言葉ですが、実際に添加物が何なのかはっきりと答えられる人は意外と少ないです。
今回は管理栄養士監修のもと、添加物とはどんなものなのか、体に悪いのか危険性はあるのかについて解説していきます。
【監修者】M.N
福井県出身の管理栄養士。
論文や企業から学んだ正しい知識を、誠心誠意をもって情報発信。
過去に書いた記事は300本以上。大手メディアにも掲載多数。
【経歴・実績】
2016年 健康栄養学科の大学を卒業・管理栄養士を取得
2016~年 大手食品会社勤務 主に商品開発に携わる
2021~年 健康に関する情報発信・Webライターとして活動
目次(本サイトはアフィリエイトを含む記事があります)
食品添加物とは?
食品添加物とは厚生労働省によって以下のように定義されています。
食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。
厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。
また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、安全の確保に努めています。
原則として、厚生労働大臣の指定を受けた添加物(指定添加物)だけを使用することができます。
指定添加物については、日本食品化学研究振興財団が公表している、指定添加物リストに載っているので、 気になる方はチェックしてみてください。
食品添加物って体に悪い?危険性は?
食品添加物が体に悪いかどうかという疑問についてですが、様々な意見が討論されており、安全性があるという研究データもあれば、危険性があるというデータもあります。
摂取量を守れば、人体に大きな影響を与えるとは考えにくいですが、病気のリスクが上がる可能性もあるので、 なるべく摂取を控えることが大切です。
食品添加物が体に悪いとされる理由としては、
添加物が体に悪いとされる理由
- 発がん性がある
- 肥満のリスクが高まる
- 頭痛やうつ病といったリスクが上がる
など様々です。 しかし食品添加物にも様々あり、自然由来のものもあります。
身近なものだと豆腐を作るときに欠かせない「にがり」であったり、こんにゃくを作る時に必要な「消石灰」なども添加物の一つです。
これらは体に大きな被害を与えるとは考えにくいでしょう。
食品添加物で危険視したいのは、ジュースやお菓子によく含まれる人工甘味料や異性化糖。
ハムやソーセージなど、 発色剤として使われる亜硝酸ナトリウムといったものです。
これらは先ほど紹介したような発がん性や肥満のリスクが高まる研究データが上がっているので、なるべく摂取しないように気をつけましょう。
▼合わせて読みたい
▼参考記事
ホントに知っていますか?食品添加物のこと
食品添加物を摂りすぎるとどうなる?
食品添加物を摂りすぎることによって、 危険性のところで説明したようなリスクが高まります。
食品添加物に限った話ではありませんが、摂取量を守ることはとても大切です。
日本で使用許可がされている添加物は、一日摂取許容量が定められています。
一日摂取許容量はADIといって、人がある物質を一生にわたって毎日摂取し続けても、健康に影響が出ない量となります。
例えばたまねぎやトマトなどの天然物も、ごく少量の毒性があり、食べ過ぎると中毒になって死亡するのです。しかしこの特性は限りなく少なく、仮にトマトだと1日に4トン 摂取すると致死量となります。
どう考えてもこの量を食べることは不可能なので、無害と言えるわけです。
添加物も同様に、普通に摂取している分にはADIを超えることはありません。
なので普段の食事で必要以上に考えすぎる必要はないでしょう。
食品添加物の推定一日摂取量と一日摂取許容量の比較
一日摂取許容量を超えることはないとお伝えしました。
ここでは令和3年12月15日に行われた「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会報告」にて報告されたデータをもとに、本当に一日摂取許容量を超えることはないのかを見ていきましょう。
食品添加物 |
推定一日摂取量(mg/人/日) | 一日摂取許容量(mg/人/日) |
安息香酸 | 1.326 | 294 |
ソルビン酸 | 4.312 | 1470 |
亜硫酸塩類 | 0.236 | 41 |
今回の調査では保存料としてよく使われる、ソルビン酸が一番摂取されるということがわかりました。
表を見て分かるようにソルビン酸の一日摂取許容量は1470(mg/人/日)です。 それに対して推定される人の一日摂取量は、4.312(mg /人/日)です。
なのでおよそ340倍もの量を摂らないと、一日摂取許容量を超えることはありません。
ちなみにソルビン酸が使用されている食品には、かまぼこやはんぺんなどの練り物。
ハム、ソーセージなどの加工肉、お漬け物、ワイン、チーズ、ジャムなどの発酵食品などがあり、実に多くの食品に、保存料として使用されています。
一日摂取許容量が超えなくても安心はできない
数字から見ても食品添加物が、 一日摂取許容量を超えることはほとんどありません。なので「安心して摂取しても大丈夫」という考えになるかもしれませんが、食品添加物の危険性は今でも疑われています。
例えば先ほどのソルビン酸に関しては、 単体でも危険性があるとされています。
さらにハムやソーセージなどの加工品に使われる、亜硝酸ナトリウムと組み合わさることで、発ガン性が高まるという研究データが出ています。
添加物単体では問題のないこともありますが、多くの食品は複数の添加物を使用されることが多いので、実際にどのくらい摂取しているのかは分かりにくいです。
また安全性も動物実験によって証明されているものなので、100%人体に害はないとは言い切れません。
さらには長期的な摂取による研究データはまだまだ少ないので、一日摂取許容量を超えないとしても、長期的に見ると体に大きな害を与えている可能性は十分に考えられます。
添加物は食品を美味しくさせたり、 長期保存のために役立ったり、食中毒を防いだりなど色々なメリットもありますが、リスクがある可能性があるということは念頭に置いておきましょう。
管理栄養士としても、 なるべく食品添加物の摂取は避けることをおすすめします。
よく使われる食品添加物一覧
最後によく使われる食品添加物を一覧でご紹介します。
よく使われる食品添加物一覧
- 甘味料
- 調味料
- 膨脹剤
- 乳化剤
- 防かび剤又は防ばい剤
- 漂白剤
- 発色剤
- 酸化防止剤
- 増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料
- 保存料
- 着色料
- 栄養強化剤
- ガムベース
- 製造用剤等
- 香料
- 苦味料
- 光沢剤
甘味料
- アスパルテーム
- アセスルファムカリウム
- カンゾウ抽出物
- キシリトール
- サッカリン、サッカリンナトリウム
- ステビア
等
▼あわせて読みたい
調味料
- アミノ酸(L-アスパラギン酸ナトリウム等)
- 有機酸(クエン酸カルシウム等)
- 核酸(5'-イノシン酸二ナトリウム等)
- 無機塩(塩化カリウム等)
等
膨脹剤
- 炭酸水素ナトリウム(重曹等)
- グルコノデルタラクトン
- 硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)
等
乳化剤
- グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンエステル)
- サポニン(キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン)
- ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖エステル)
等
防かび剤又は防ばい剤
- イマザリル
- オルトフェニルフェノール(OPP)
- チアベンダゾール(TBZ)
等
漂白剤
- 亜塩素酸ナトリウム
- 亜硫酸ナトリウム(亜硫酸Na、亜硫酸塩、亜硫酸ソーダ)
等
発色剤
- 亜硝酸ナトリウム(亜硝酸Na)
- 硝酸カリウム(硝酸K)、硝酸ナトリウム(硝酸Na)
等
酸化防止剤
- L-アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)
- エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)
- カテキン
等
増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料
- カラギナン(加工ユーケマ藻類、精製カラギナン、ユーケマ藻末)
- カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)
- キサンタンガム
等
保存料
- 安息香酸、安息香酸ナトリウム(安息香酸Na)
- しらこたん白抽出物(しらこたん白、しらこ分解物、プロタミン、核蛋白)
- ソルビン酸、ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K)
等
着色料
- アナトー色素(アナトー、カロチノイド、カロチノイド色素)
- ウコン色素(クルクミン、ターメリック色素)
- カラメルI、カラメルII、カラメルIII、カラメルIV(カラメル、カラメル色素)
等
栄養強化剤
- ビタミン類(L-アスコルビン酸等)
- ミネラル類(塩化カルシウム等)
- アミノ酸類(L-アスパラギン酸ナトリウム等)
等
ガムベース
- 酢酸ビニル樹脂
- ジェルトン(ポンチアナック)
- チクル
等
製造用剤等
- かんすい
- 結着剤
- 消泡剤
等
香料
- 合成香料(アセト酢酸エチル等)
- 天然香料
等
苦味料
- カフェイン(抽出物)
- ナリンジン
- ニガヨモギ抽出物
等
光沢剤
- シェラック(白シェラック、精製シェラック)
- パラフィンワックス
- ミツロウ
等
今回は添加物がなんなのか、体に悪いのか・危険性はどうなのかなどについてお伝えしました。
添加物は様々な食品・飲料に使われています。食品添加物については、まだまだ未解明な部分も多いので、その危険性に関しては確定してお伝えできる部分は少ないです。
ただし危険性が示唆されている以上、管理栄養士としても摂取量は控えるのがおすすめです。
今回の記事が少しでも参考になればうれしいです。最後までご覧いただきありがとうございました。